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今こそチェック!固定資産税評価額からわかる相続税対策

(2025年5月掲載)

あおばコンサルティンググループ代表 田口 豊太郎(税理士)

こんにちは、税理士の田口です。

毎年この時期になると、各市区町村から「固定資産税の課税明細書」「固定資産税評価額」の通知が届くと思いますが、不動産をお持ちの方にとって、大切な資産の評価額を確認できる機会となります。ご存じの方も多いと思いますが、固定資産税の評価額を使って、不動産の相続税評価額をおおよそ予想できるからです。

相続税の申告では、亡くなられた方がお持ちだった不動産を「時価」に基づいて評価しますが、よくニュースでも取り上げられている通り、全国的に土地の価格が上がっており、それに引きずられる形で「相続税評価額」も上がっているため、あらかじめ不動産の相続税評価額を把握しておくことは、とても重要だと思います。相続税評価額を予想する手がかりになるのが、今回届く「固定資産税評価額」です。

たとえば、土地は、路線価方式や倍率方式により評価されますが、相続税評価額は一般的には固定資産税の評価額の1.1~1.2倍になると思います。(路線価が設定されていない地域では、固定資産税評価額に一定の倍率(一般的に1倍から2程度)をかけて評価額を求めます。)

建物については、基本的に固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となりますので、計算するまでもありません。(貸家の場合は0.7倍)

つまり、手元の固定資産税課税明細書を確認することで、「自分の不動産が相続時にどれくらいの評価になるか」をおおよそ把握することが可能なのです。

 

ここで、さらに重要なポイントがあります。

それは、居住用の区分所有建物(マンション等)に関する相続税評価のルールが、最近改正されたという点です。
これまでは、築年数が古くなったマンションなどは、相続税評価額が非常に低くなりやすく、結果的に相続税が大きく節約できるケースが多く見られました。


しかし、令和6年度の税制改正により、居住用の区分所有建物については、実勢価格と相続税評価額に大きな乖離がある場合には、補正が入る(相続税評価額が引き上げられる)仕組みが導入されました。
これにより、特に都心部の築古マンションなどでは、以前ほど有利な評価ができなくなる可能性があるため、注意が必要です。

 細かい計算式はここではご紹介は致しませんが、所有しているマンション相続税評価額が2倍くらいになったという話も聞きますので、是非マンションを所有している方は相続税評価額の試算をしてみてはいかがでしょうか。

【この時期にぜひやっておきたいこと】

・今年届いた「固定資産税の課税明細書」は捨てずに保管する

・土地と建物それぞれの「固定資産税評価額」を確認する

・相続税評価額のおおまかな試算をしてみる

・区分所有建物をお持ちの方は、税制改正の影響について専門家に相談しておく

 

早めに資産の現状を把握しておけば、将来の相続に向けた準備もスムーズに進めることができます。
大切な資産を守り、次の世代へ安心して引き継ぐために、是非この機会にご自身の資産状況を見直してみましょう。では。