サイト内の現在位置
年平均成長率7%
石井 裕之
(CFPファイナンシャル・プランナ-)
こんにちは。FPの石井裕之です。
タイトルの数字を見てピンときた方、いらっしゃるかもしれません。これはS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)500のことです。
S&P500とは1957年から続く、ニューヨーク証券取引所やナスダックなどに上場する代表的な500社の株価に基づくアメリカの代表的な株価指数です。もうひとつの代表的指数であるNYダウが構成銘柄の株価の単純な平均なのに対して、S&P500は時価総額による加重平均なので、経済状況をより正確に反映しているといわれています。
このS&P、ウィキペディアによると、設立された1957年には39.99だったものが、2023年には4,769.83と、実に119倍になっており、年率リターン平均は7%を超えています。ということは、S&Pに連動するインデックス型投資信託を保有すれば、年率7%成長の恩恵にあずかれたことになります。
もっとも毎年順調に7%成長しているのではありません。株式ゆえ浮き沈みは激しく、実は7%に近い年はかなり少ないのです。
過去、大きな暴落が4回起きています。
1973年~1974年(オイルショック) ▲41.9%
2000年~2002年(バブル崩壊) ▲40.1%
2008年(リーマンショック) ▲38.5%
2022年(コロナショック) ▲19.4%
今後も同様のことが起きない保証はなく、万一そのようなタイミングに遭遇してしまうと、いても立ってもいられない気持ちになるかもしれません。だって資産がいっぺんに4割もなくなってしまうのですから。
投資に慣れておられる方はご存じのとおり、このような場合に最悪なのは、狼狽して売却し、もう懲り懲りだとばかりに預金などに預けかえてしまうこと。これでは損失を取り戻すことが絶望的なうえに、もう二度と投資をしたいと思わなくなるでしょう。
119倍の成長というのは、これらの暴落を乗り越えて達成したものです。もちろん今後の成長率は予断を許しません。この点、結局は今後の右肩上がりを信じるかどうかに尽きるのだと思います。
ちなみに、2024年元旦に惜しくも亡くなられた経済評論家の山崎元さんは、初心者が投資するなら全世界株式インデックスファンド(ファンドとは投資信託の別名です)だけで良いと語っていました。山崎さんはもともと金融機関の出身ですが、あえて手数料の低い商品を推奨するあたり、つくづく良心的と思います。全世界株式インデックスはアメリカ以外も投資対象としていて、S&P500とは別の指標で運用されますが、概ね投資先の6割はアメリカで、主な個別銘柄もかなり共通しています。S&P500インデックスとどちらが良いかは、その方のお考え次第でしょう。この春の賃上げ分を元手に投資を開始または増額しようという方は、どちらか、もしくは両方を検討されてみてはいかがでしょうか。新NISAを活用されると一層効果が期待できます。
2024年はここまで波乱続き。元旦には能登半島地震、そして翌日には羽田空港でのJAL機と海上保安庁補給機との衝突事故がありました。この事故の衝撃映像を見て「もう飛行機に乗るのはやめる」という方もいるようです。
私は「長期投資って、将来絶対にマイナスになりませんか」という質問は、「飛行機は絶対に事故を起こしませんか」に似ているように思います。確率でいうと、もし毎日飛行機に乗っても事故に遭遇するのは約500年に1回だそうで、自動車事故の20分の1だそうです。旅行も冒険、投資も冒険ということで、ぜひ投資による成長の果実を目指されてみてはと思います。
それでは、また次回。
各種お問い合わせはこちら