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新NISAは、始めた方が良いの?

(2023年12月掲載)

石井 裕之
(CFPファイナンシャル・プランナ-)


こんにちは。FPの石井裕之です。

2024年から始まる新NISA、盛んにPRされているためか、「やはり始めた方が良いの?」とよく聞かれます。その場合は年齢層を問わず、基本的に始めることをお勧めしています。

改めて新NISAのポイントを整理すると、次の4点になります。

1.制度が恒久化され、非課税保有期間が無期限化したこと。2023年で廃止される現行の一般NISA(保有期間5年)・つみたてNISA(同20年)とは異なり、ずっと非課税が継続します。

2.同じ年に、成長投資枠(現行の一般NISAに相当)とつみたて投資枠(つみたてNISAに相当)の両方の枠を使えること。いずれか選択だったものから、新NISAでは合計で年間360万円(うち成長投資枠は240万円)まで投資できます。それぞれの枠で購入できる運用商品は、現行の一般NISA・つみたてNISAとほぼ同じです。

ちなみに、現在NISAを利用されている方は、今の運用商品を移行できません。新NISAで保有したい場合は一度売却して、改めて購入し直すことになります。ただし現行NISAでも期間中は、そのまま保有を続けることも可能です。

3.生涯投資枠が決まっていること。購入累計の限度額が1,800万円(うち成長投資枠は1200万円)と定められています。この額は売却額ではなく、購入額(簿価)で決まります。

4.枠が翌年再利用可能なこと。売却して空いた株式や投資信託などの簿価(売却額ではありません)の枠で、翌年改めての購入ができます。現行では再利用不可なので便利になりました。ただし年間合計360万円の範囲内であることが必要です。

口座開設先のお勧めは特にありませんが、海外への転勤や留学がありそうな方は、対応が金融機関で異なる可能性があるので、確認されることをお勧めします。なお、海外に行かれる方は新NISAの利用自体を見合わせた方がよい場合もありそうです(冒頭で「基本的に」としたのは、そのためです)。

よく聞かれる点を2Q&Aにしました。Aは全くの私見ですので、ご承知おきください。

Q.投資って怖いけど、やっぱりした方が良いの?

A.今でも家計金融資産の半分以上を預貯金が占めています。定期預金の金利引き上げが報じられていますが、仮に年0.5%に上昇したとしても、お金が倍になるには、税前の状態でも144年かかるということを考慮して判断されてはいかがでしょうか。

ひとつの提案ですが、遊び心かたがた、成長投資枠で株主優待のある銘柄を選べば、株価が下がっても優待品や配当金が受け取れるので(しかも非課税で)、あまり腹が立たないかもしれませんし、長期保有すれば実質的にモトが取れる可能性が高まります。

Q.投資信託は数が多くて選ぶのが難しいよ。

A.確かに、つみたて投資枠で購入可能な投資信託は一定の基準を満たしたものに限られますが、これだけでも1110日時点で250種類以上あります。ひとつの考え方として、信託報酬が低めの傾向にあるETF(上場投資信託)の中から選択する方法もあります(必ず安いとは断言できないのでチェックをお忘れなく)。やはり多様な投資対象の商品がありますが、投資信託よりも数が少ないので選びやすいと思います。

なお、つみたて投資枠の対象商品は、政令や告示で規定された要件を備えたものを各運用会社が届け出て金融庁がHPで公開しますが、金融庁がその運用商品にお墨付きを与えたのではありません。リターンがリスクを源泉とすることは大原則。攻めがリスクを伴って実行されるものである点は、投資もスポーツも同様です。

それでは、また次回。