サイト内の現在位置
節電しながらエアコンを活用する方法
石井 裕之
(CFPファイナンシャル・プランナ-)
こんにちは。FPの石井裕之です。
経済産業省資源エネルギー庁が本年4月15日に公表した「2020年度エネルギー需給実績」によると、家庭部門の消費量は、在宅時間増などの影響で前年度比4.8%増加したものの、それでも企業・事業所他部門(61.9%)や運輸部門(22.3%)よりも少なく、15.8%だそうです。
そのうちエアコンは家庭部門での電力消費割合の3分の1を占めるとのこと。ということは国の消費量全体の約5%となります。多いとみるかどうかは微妙ですが、電気代の高騰もあり、節電に留意されている方が多いことでしょう。
エアコンの節電に関しては、少なからず誤解があるようです。たとえば、
☆風量設定が「自動」よりも「微風」の方がエコ?
パナソニック広報によると、「微風」だと設定温度までの時間がかかってしまい、「自動」よりも消費電力が増えてしまうのだとか。
☆つけっ放しよりも、30分ごとに5分停止した方がエコ?
電力中央研究所の検証では、この例だと、つけっ放しの方が消費電力3割減になるとのことです。
☆「除湿」は「冷房」よりも除湿量が多い?
東京電力技術開発研究所の調べでは、「除湿」は「冷房」の半分以下の除湿量だそう。ただし消費電力は逆に、「除湿」が「冷房」の半分程度だそうです(再熱除湿の場合はこの限りではありません)。
また、同じく東京電力技術開発研究所によると、エアコンのみを設定温度26度で稼働させるよりも、28度にして扇風機を併用した方が、扇風機の消費電力を加えても22%の節電になり、かつ、風が当たることで体感温度も下がるとのこと。ちなみに1度あげて27度にしても、9%節電になるそうです。
さらにエアコン室外機について、周辺温度を猛暑時の35度から5度下げることで、42%もの節電になる旨の、電力中央研究所の調査結果があるそうです。すだれの活用などは効果大ということですね。ただし室外機から1m程度離すのがポイントだそうです。
そして、より本質的な節電ポイントが2つあります。
1つは、古いエアコンの買い換え。5年以上前のものに比べると、省エネ化は一段と進んでいます。そもそも安いエアコンは多くの電力を消費するので(エアコンの価格差は消費電力量の違い・・・近所の家電屋さんの話です)、思い切って価格帯を上げて買い替えることで、電気代(や、販売店によっては下取り制度も)を考慮すれば、遠からずモトが取れるかもしれません。
もう1つは、断熱。古い家では窓にアルミサッシが使用されていることがありますが、アルミは金属の中でも熱伝導率が極めて高く、外の熱気をどんどん室内に取り込んでしまいます。アルミサッシの窓の部屋をエアコンで冷やすのは、大げさに言えば、おフロの栓をしないでお湯を溜めようとするものだとか。ぜひ、熱伝導の低い樹脂サッシに変えてみてはと思います。
欲を言えば、窓を二重もしくは複層ガラスにして、かつ壁の断熱も実施することで、より快適な夏(と、冬も)が過ごせるでしょう。これらの費用は想像より安価である可能性もあり、となると電気代削減との損益分岐点到達は意外に早く、かつ、省エネという社会貢献にもなるでしょう。断熱工事については、まずはお住まいの自治体窓口に、国の補助制度や、自治体独自制度の有無・適用要件などを確認されてみてはいかがでしょうか。
なお、現在政府が検討中の節電ポイント付与については、本稿執筆時点(7月中旬)で未確定のため触れられませんでした。具体化した内容が、さらに節電のモチベーション向上につながるものであればと思います。
それでは、また次回。
各種お問い合わせはこちら