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「タワマン節税」の終焉?タマワン節税にさらにメスが入りました。

(2023年11月掲載)

あおばコンサルティンググループ代表 田口 豊太郎(税理士)


こんにちは、税理士の田口です。
今回は、以前のメルマガでも取り上げたタマワン節税について、令和510月上旬に国税庁が新たな取扱いを発表しましたので、そちらをご紹介したいと思います。

そもそもタワマン節税とは一体何か、簡単におさらいしますと、立地の良いタワーマンションを購入し、タワーマンションの相続税評価額が低く算出されることを利用した相続税の節税対策です。
例えば1億円で購入したタワーマンションでも、相続税評価額が3,000万円になることもあり、節税対策になるというスキームです。

もちろん、人気があって、立地の良く、売買価格が下がらないようなタワーマンションであることが前提で、価格が大幅に下がってしまうような物件では元も子もありませんが、もし、タワーマンションを相続した相続人が購入時と同価格で売却できたとすると、結果として相続税を支払うことなく、現金を手に入れることができるわけです。

実は以前から国税当局もこの件を問題視しており、2017年に一度税制が改正されて、階層が上になるほど上がるような計算方法に変更されました。その結果、高層階の部屋の評価額が上がり、相続税が増えることになったのですが、それでもまだ相続税評価額が低いと判断したようです。今回、国税庁が発表した資料に次のような記載があります。

国税庁発表資料一部抜粋「居住用の区分所有財産の評価について」
『居住用の区分所有財産(いわゆる分譲マンション)については、近年、不特定多数の当事者により市場において活発に売買が行われるとともに、従来に比して類似の分譲マンションの取引事例を多数把握することが容易になっている。また、相続税評価額と売買実例価額とが大きく乖離するケースもあり、平成30年中に取引された全国の分譲マンションの相続税評価額と売買実例価額との乖離について取引実態等を確認したところ、平均で2.34倍の乖離が把握され、かつ、約65%の事例で2倍以上乖離していることが把握された。』

つまり、乖離率があまりに大きいため、更なる改正を行うこととした、ということです。

具体的にどのように相続税評価額が計算されるのかをご紹介したいのですが、その計算式があまりに複雑であるため今回は割愛させていただきますが、統計上、戸建て住宅が市場価格の60%程度の相続税評価額になることに合わせて、タワーマンションも市場価格の60%、もしくはそれ以上の相続税評価額になるような計算式としているようです。国税庁発表の資料や、新しい相続税評価額の計算式が気になる方は、国税庁HPURLを記載いたしますので、ご覧頂ければと思います。

国税庁発表資料URL 「居住用の区分所有財産の評価について」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hyoka/231013/01.htm

 

いかがでしたでしょうか。今後タワーマンションで相続税を節税されようとお考えの方は税制改正のことも頭に入れてご検討いただけますと幸いです。ではまた。