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円安時には要注意、為替で出た利益の申告について

(2022年7月掲載)
あおばコンサルティンググループ代表 田口 豊太郎(税理士)


こんにちは。税理士の田口です。

さて、最近急激に円安が進んでおりますが、円安時に税金の「申告漏れ」が発生することがあることを皆さまはご存じでしょうか。今回は為替による利益の申告についてご説明させて頂こうと思います。

単純に円安になるだけで税金が発生するわけではないのですが、外貨預金をお持ちの方が円安になったということで、「外貨」を売却して「円」にするということは今後頻繁に起こる話だと思います。その場合、「為替差益」という利益が発生することになり、この「為替差益」は「雑所得」として所得税や住民税が課税されることになります。また、税金だけでなく、国民健康保険料(後期高齢者医療保険料)もアップすることもありますので、留意が必要です。

公的年金や給与は、源泉徴収票が発行されるため、ご自分で計算を行う必要はありませんが、この為替差益というものは自分で計算を行って確定申告を行う必要があり、書類がないため確定申告自体を失念してしまうということが頻繁に発生します。また、為替差益の計算が複雑になるケースもあるため、専門家に依頼しないと為替差益の計算ができないケースもあります。

もし外貨を売却して為替差益が出た、また、為替差益が出そうだという方向けに一つ大事なお話をさせて頂きます。それは外貨購入時のレートはTTSで計算し、売却時のレートはTTBで計算するということです。※

TTSとは金融機関が皆さまに外貨を売るレート、TTBとは金融機関が皆さまから外貨を買うレート(顧客が売るレート)のことです。

銀行やネットバンキングの利用の有無によって多少違いはありますが、アメリカドルであれば為替相場(仲値)135円の場合、一般的にはTTS136円、TTB134円となります。(※仲値から必ず1円というわけでなく、金融機関によって異なります)

皆さまがドルを購入する場合は、1ドル136円で購入することになり、ドルを売却して円に変えるときは1ドル134円で売却することになります。

為替差益の計算では原則としては「仲値」を使うことになっておりますが、例外としてTTSとTTBとを使うことが出来るため、TTSTTBのレートを調べて頂いて為替差益の計算をした方が為替差益の金額を小さくすることができ、税金を安くすることができるということです。

いかがだったでしょうか。為替差益以外にも、最近は金が高騰しているので、金・地金の売却をした方が多くいらっしゃるようです。税務署は、金・地金の買い取り業者に税務調査を行う際に、誰からいくらで買ったという資料(名簿)を集めています。金・地金を売っても税務署は把握できないだろうと思っていると、いきなり税務署から電話がかかってくるということも十分可能性がありますので、為替差益だけでなく、「儲け」が出たら必ず申告を行う必要がある、ということはご認識頂ければと思います。では、また。