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胃がん検診は内視鏡検査を

(2024年10月掲載)

石井 裕之
(CFPファイナンシャル・プランナ-)

こんにちは。FPの石井裕之です。

日本人に多いとされる胃がん。国の指針では一次検診として、問診、胃X線検査、胃内視鏡検査が推奨されています。

国内最大の検診グループである日本対がん協会のホームページによると、2017年度に全国の支部で実施した胃がん検診の結果では、受診者数204万2887人、その中で精密検査が必要と判定された人は13万1902人、うち実際の受診者10万3034人、最終的にがんが発見された人は2435人で、全受診者の0.12%だったそうです。個人的には、要精密検査とされた方の2割以上が実際に受診をしていないことが驚きです。

ところで、これも私事になりますが、以前かかりつけ医に勧められて、人間ドックをX線検査から内視鏡検査に変更しました。私としてはバリウムを飲めばよいX線検査の方がラクだったので渋々変えた経緯があります。

日本対がん協会の年次報告書によると、2021年度に自治体等の依頼で実施した集団胃がん検診の対象者は約170万人、そのうちの約163万人(96%)はX線検査だそうです。これだけの規模になると、撮影装置や放射線技師も相当数必要なこと、容易に想像できます。

このX線検査、撮影されたフィルムが2人以上の医師によって読影され、検査の感度(がんがある人を正しく診断できる精度)は70~80%とのことです。但し、ある検診団体の調査によると、1㎝未満のがんの約7割、2㎝未満の約4割が見落とされていたそうで、つまりX線検査を毎年受診していても、発見時は進行がんだったという事態が避けられない場合があることになります。

一方の内視鏡検査は胃に内視鏡を入れて観察するので、1㎝の大きさを見落とすことは少ないと考えられ、さらに十二指腸や食道の様子までも観察できます。

それにも拘わらず、内視鏡検査は死亡率減少効果を判断する証拠が不十分(つまり論文がない)という理由で、長らく一次検診として推奨されませんでした。昭和の時代から続くX線検査に対して、内視鏡検査が追加されたのは、ようやく2014年(平成26年)になってからです。

実は前述の日本対がん協会の、ある支部の元幹部(医師)が、X線検査を全面廃止にして内視鏡検査に切り替える計画を進めたところ、強い抵抗にあって断念したと語っていた記事がありました。その支部でもX線検査の装置を積んだ高額な検診車を保有し、多数の放射線技師を擁していたそうです。

そういえば、これも個人的な疑問ですが、なぜ内視鏡検査の死亡率減少に関する論文がないとされてきたのか、多くの学者や学者の卵が論文ネタを物色している中で、不自然な印象を否めません。

確かに受診者にとって、内視鏡検査は辛いです。特に私は、最初の頃は麻酔を断っていたので、大変な苦行でした(苦笑)。今は観念して(?)麻酔をお願いしているので、気が付いたら検査は終了、段違いに楽になりました。検査効果の違いはないので、最初からそうすればよかったと後悔しています。

なお、薬に対するアレルギーがある方は、内視鏡検査で使用する麻酔薬等について、事前に医師への相談をぜひ。また確率は低いものの、内視鏡を入れることによる感染、さらには胃・食道を傷つけてしまうことでの出血や、穴を開けてしまう(穿孔 せんこう)可能性があるとのこと。デメリットについても認識しておく必要はあるでしょう。それでも今の正直な気持ちとして、内視鏡検査を勧めてくれたかかりつけ医に感謝しています。

それでは、また次回。