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令和5年分の路線価が公表、コロナの影響から完全回復へ

(2023年9月掲載)

あおばコンサルティンググループ代表 田口 豊太郎(税理士)


こんにちは、税理士の田口です。

今回は、前回のメルマガで路線価について解説させて頂きましたが、予定通り73日に国税庁が令和5年分の路線価を公表いたしました。今回のメルマガでは最新の路線価の状況と、私見ではありますが今後の路線価の見通しを書かせて頂こうと思います。

路線価については何度も当メルマガで取り上げさせて頂いておりますので、細かい説明は省略させていただきますが、路線価は概ね公示価格の80%程度とされております。裏を返すと、路線価を80%で割り返すことで大まかな公示価格を計算できることになります。しかし、昨今の「不動産取引価格(実勢価格)」が、「公示価格」と大きく乖離していることが多々あります。あくまで「公示価格」や「路線価」は、土地価格の指標の1つであって、「路線価」は贈与や相続が発生したときの「相続税評価額」を計算するためだけの指標だということをまずご理解いただければと思います。

(令和5年分 路線価の状況)

  1. 1.全国平均で5%上昇、2連続の上昇

都道府県別にみると下落しているエリアもありますが、全国的に路線価は上昇しております。上昇率でみると北海道(6.8%)、福岡県(4.5%)、宮城県(4.4%)、沖縄県(3.6%)、東京都(3.2%)が上位となっております。北海道の上昇率は6.8%にもなっており、新幹線の延伸、札幌の再開発などが要因となっているようです。

  1. 2.大都市も地方都市も高い上昇率

関東圏の上昇率はすべて全国平均以上となっており、3.2%上昇した東京都以外でも、千葉県(2.4%)、神奈川県(2.0%)、埼玉県(1.6%)となっております。他にも愛知県(2.6%)、熊本県(2.3%)は全国平均を上回る上昇率となっております。

  1. 3.路線価日本一はいつものあの場所

毎年同じではありますが、日本で一番高い路線価がついている場所はやはり銀座です。銀座5丁目の中央通りで1㎡あたり4,272万円となっており、前年より1.1%上昇したということです。

(今後の見通し)
今年に入りコロナの規制もなくなり、株価も上昇し、さらに、インバウンド需要で日本経済の急回復が進んでいるなかで、商業用地の需要が高まっております。また、日銀が金融緩和を継続しているため、今後も低金利で住宅ローンを組むことができ、住宅ローン減税も適用できるため、住宅用地の需要も継続するはずです。そういったことを考えると、今後路線価が大きく下がる可能性よりは、上がっていく可能性が高いと思われます。

保有している土地(財産)の価値が上がるということが良いニュースではありますが、路線価が上がる=相続税や贈与税が増えるということになります。前回のメールマガジンでも書かせて頂きましたが、所有されている土地の路線価がいくらになるか、定期的に確認されることをお勧めいたします。(下記サイトから調べることができます。)

 https://www.rosenka.nta.go.jp/

いかがでしたでしょうか。今後も当メルマガでは定期的に路線価について取り上げさせて頂こうと思っております。では。