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結局どう変わる?令和5年度税制改正大綱の内容

(2023年1月掲載)

あおばコンサルティンググループ代表 田口 豊太郎(税理士)


こんにちは、税理士の田口です。
今回は令和412月に発表になった税制改正大綱の内容で、相続税や贈与税がどのように変わりそうなのかということをご紹介させていただこうと思います。

1.「贈与財産の加算」の期間が3年から7年に延長
従前より「贈与税」と「相続税」を一体化させるという議論がされておりましたが、ついに「贈与財産の加算」の期間が3年から7年に延長されるようです。
※従前の「贈与財産の加算」の制度は前回のメールマガジンでもご説明しておりますので、詳細は前回のメールマガジンをご参照ください。

こちらの改正内容については、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税から適用になる見込みです。

もし贈与をお考えであれば、令和51231日までに贈与を済ませておいた方が良いと思いますが、一気に贈与してしまえばそれだけ贈与税の納税額が増えることになりますので、どのくらい贈与すべきなのかは事前に専門家に相談された方がよろしいかと思います。

2.相続時精算課税制度の基礎控除枠の制定
相続時精算課税制度は、諸々条件はありますが、累計で2,500万円までであれば贈与税は一切かかりません。その代わりに相続発生時に、この制度を利用してその贈与した金額を相続財産に加算して相続税を計算するため、相続税の節税効果は見込めない制度でした。

今回の税制改正大綱では、相続時精算課税制度でも通常の暦年贈与と同様に、110万円の基礎控除が設けられました。

こちらの基礎控除の金額は、相続開始前7年内の贈与であっても、将来の相続財産に加算する必要はないため、相続時精算課税制度の利便性が大きく向上することになりそうです。

あくまで私の個人的な意見ではありますが、今まで使い勝手が良くなかった「相続時精算課税制度」が、今回の改正でだいぶ使いやすくなったと感じます。

3.教育資金贈与、結婚子育て資金贈与の適用期間の延長
細かい説明は割愛させて頂きますが、教育資金贈与(最大1,500万円)は令和8331日まで3年間延長、結婚子育て資金贈与(最大1,000万円)は令和7331日まで2年間延長される見込みです。

いかがでしたでしょうか。ほかにも改正が見込まれている論点がございますので、次回のメールマガジンでも令和5年度の税制改正大綱の内容についてご紹介させていただこうと思います。では。