サイト内の現在位置
雇用保険法の改正について
石井 裕之
(CFPファイナンシャル・プランナ-)
こんにちは。FPの石井裕之です。
目下、FPとして、書くべきネタが目白押しです。一例として、
・健康保険の高額療養費
・103万円(所得税に関わる壁)
・106万円&130万円(社会保険に関わる壁)
・年金制度改革 など。
ただし本稿執筆時点の3月中旬では、流動的で未だどうなるかわからないものが多いので、今回は一足先に2024年5月10日に成立した、雇用保険の改正についてにします。これも改正内容や施行時期が多岐にわたるので、特に注目いただきたい点をご紹介します。
◎教育訓練給付金の給付率引き上げ(2024年10月1日施行)
厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に支給される受講費用の一部(教育訓練給付金)について、給付率が引き上げられました。
・特定一般教育訓練給付金 40%→50%
・専門実践教育訓練給付金 70%→80%
(一般教育訓練は20%のままで、変更ありません)
◎自己都合退職者が教育訓練等を自ら受けた際の給付制限解除(2025年4月1日施行)
従来は、自己都合退職者が失業給付(基本手当)を受給するには、待期期間満了日の翌日から原則2か月間の給付制限期間がありました(5年以内に2回を超える場合は3か月)。ただしハローワークの受講指示により公共職業訓練等を受講した場合には、給付制限が解除されていました。
今回の改正で、在職期間中や離職日1年以内に、労働者が自らリ・スキリングのために教育訓練を受けた(受けている)場合、給付制限が解除されるようになりました。あわせて給付制限期間も2か月→1か月に短縮されました(5年間で3回以上の自己都合退職がある場合は3か月)。
◎高年齢雇用継続給付の給付率引き下げ(2025年4月1日)
これは令和2年の改正で、60歳に達した日(その日時点で被保険者であった期間が5年以上ない方は、その期間が5年を満たすことになった日)が本年4月1日以降の方は、各月に支払われる賃金の支給率が最大15%→10%に変更されました。
◎教育訓練休暇給付金の創設(2025年10月1日)
労働者が教育訓練に専念するために仕事から離れる(=無給になる)場合、その期間中の生活費を支援する仕組みが創設されました。給付額は、離職した場合に支給される基本手当と同額で、給付日数は雇用保険の被保険者期間によって異なります。
◎雇用保険の適用拡大(2028年10月1日)
3年ちょっと先の話ですが、雇用保険の被保険者要件のうち、週所定労働時間「20時間以上」が「10時間以上」に変更され、適用拡大が図られるようになります。これにより約506万人が新たに雇用保険の対象になると見込まれ、失業時や育児休業・介護休業中の経済的支援が受けられるようになります。
それ以外に、次のような改正も2025年4月1日から施行されます。
◎就業手当の廃止および就業促進定着手当の給付上限引き下げ
(なお、再就職手当については、廃止・変更はありません)
◎教育訓練支援給付金の給付率引き下げ(基本手当の80%→60%)
◎育児休業給付に係る保険料率引き上げ(0.4%→0.5%)
◎出生後休業支援給付・育児時短就業給付の創設
◎子ども・子育て支援特別会計の創設
総じて、限りのある財源のなかで、働き方の多様化を踏まえた雇用のセーフティーネット再構築や、人へのさらなる投資強化を図った改正といえます(個人的には、もっと早く始めてくれればというものも)。雇用保険についても、せっかく保険料を支払っているのだからという方は、もしピンときたものがあれば条件など詳細についてハローワークでご確認いただければと思います。
それでは、また次回。
各種お問い合わせはこちら