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令和6年分 所得税確定申告についての留意点
あおばコンサルティンググループ代表 田口 豊太郎(税理士)
こんにちは、税理士の田口です。
このメールマガジンが配信される頃には、令和6年分の確定申告に取り組まれている方も多いのではないでしょうか。
年金を受給されている方の中には、医療費控除やふるさと納税の適用を受けるために確定申告をされる方が多くいらっしゃいます。また、株式や不動産を譲渡された方も、確定申告が必要になる場合があります。
さらに、過去3〜4年の間に相続税を支払われた方は、不動産や株式の譲渡の所得計算の際に「取得費加算の特例」を適用できる可能性があります。この特例については、以前のメールマガジンでも取り上げましたが、適用できるにもかかわらず見落としてしまうケースが少なくありませんので、過去に相続税を支払ったことがある方は、是非確認して頂きたいと思います。
1.取得費加算の特例とは?
通常、株式、土地、建物などの資産を売却した場合、売却価格から取得費(購入時の価格)および譲渡費用(仲介手数料など)を差し引いた金額が譲渡所得となり、この所得に対して税金がかかります。
そこで活用したいのが「取得費加算の特例」です。この特例を適用すると、支払った相続税の一部を取得費に加算できるため、譲渡所得を抑え、結果として税負担を軽減できます。
取得費加算の計算式
取得費=通常の取得費+取得費加算額(相続税の一部)
2.取得費加算の対象となる資産
この特例を適用できるのは、以下の条件を満たす資産です。
特に、「3年10か月以内に売却すること」 が重要なポイントです。この期間を過ぎると、取得費加算の適用を受けることができなくなりますので、売却のタイミングには十分ご注意ください。
取得費加算額=その資産に対応する相続税額
具体的には、相続税を支払った財産のうち、売却した資産が占める割合に応じて相続税額を按分します。
計算例
相続税の総額:500万円
相続した財産の総額:1億円
売却した不動産の相続時の評価額:3,000万円
この場合、取得費に加算できる金額は以下の通りです。
500万円×(3,000万円÷1億円)=150万円
つまり、本来の取得費に加えて 150万円を取得費として加算できるため、課税対象となる譲渡所得を減らすことができ、税金が安くなります。
いかがでしたでしょうか?
取得費加算の特例を適用する場合は、必要な書類が増えるため、申告期限ギリギリではなく、余裕をもって作業を進めるようにしましょう。では。
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