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先取り、令和4年税制改正大綱のポイント
こんにちは。税理士の田口です。
さて、今回は前回から引き続き不動産を売却したときの税金についてご紹介したいと思っておりましたが、令和4年の税制改正大綱が発表されましたので、当初の予定を変更して、現在、国が検討している相続税や贈与税の今後について書かせていただきます。
【生前贈与による節税ができなくなるのか?】
ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、2020年から「相続税と贈与税の一体化」、「暦年課税制度がなくなる」などという議論がされていました。ようは生前贈与を行って相続財産を減らし、その結果、相続税を安くさせる、という昔からある王道の相続税の節税対策ができなくなるような税制改正を行う、という議論があったのですが、今回2021年12月に自由民主党から発表になった税制改正大綱を確認する限り、全くその部分は触れられていませんでした。
もともと相続税という税金は「富の再配分」が目的であり、富裕層の財産を国民に再分配することで日本国民の経済状況による差を縮小させ、格差の固定化を防止する機能があります。
秋に岸田政権に代わってから、株式の譲渡益や配当金に対する税率を上げようといういわゆる「金融所得課税」の増税議論もあったようですが、多くの批判を受けて取りやめになっており、当然相続税を増やすような改正も与党にとっても国民の理解を得られるタイミングではない、といった判断があったかもしれません。
とはいえいずれ近い将来に相続税や贈与税の大きな改正がある可能性はあると思います。どのような改正になるかというのはまだわかりませんが、あくまで私の個人的な予想としては、生前贈与加算※の期間を現行の相続開始前3年間から、例えば10年間に延長することにより、生前贈与の効果を薄くさせようとする改正がどこかのタイミングで入るのではないかと思っております。
※生前贈与加算とは、相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人(亡くなった人)からその相続開始前3年以内に暦年課税に係る贈与によって取得した財産があるときには、その人の相続税の課税価格に贈与を受けた財産の贈与の時の価額を加算します。つまり、相続の直前に贈与して相続税を減らそうという行為を防止するためのルールです。
いずれにしても生前贈与による相続税の節税をお考えであれば1年でも早く着手した方がよいです。相続税や贈与税の大きな改正が入る可能性が消えた訳ではありませんので、今後の国の動向も注視していきましょう。では。
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