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大規模工場の水害レジリエンス強化に向けたコンサルティングサービスを提供開始
~被災現場の見学で危機管理意識を高め減災・復旧加速の取り組みを支援~
2022年3月30日
NECファシリティーズ株式会社
NECファシリティーズ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役執行役員社長:松下 裕、以下NECファシリティーズ)は、本年4月より、大規模工場における水害からの減災・復旧加速に向けたコンサルティングサービスを開始いたします。
本サービスは、日本電気株式会社(本社:東京都港区、代表取締役執行役員社長 兼 CEO:森田 隆之、以下NEC)の玉川事業場(神奈川県川崎市)が2019年10月に発生した台風19号に被災し、その復旧支援の中で当社が培った経験や気づきをもとに開発したものです。
NECファシリティーズは、開発や製品評価を行う事業場という特殊な環境の被災経験から、「防災」は災害を防ぐ準備だけではなく、想定外で被災した際の早期復旧を視野に入れることが重要との知見を得ました。こうした復旧を加速するための知恵と工夫を、今後は工場を保有する会社へコンサルティングサービスとして展開することで、工場の水害レジリエンス(注1)強化を支援します。


背景
NEC玉川事業場は、多摩川に隣接した立地ながら過去に浸水した例もないことから水害対策の優先順位は高くありませんでしたが、昨今の自然災害の激甚化を踏まえて様々な対策が検討されていました。
こうした中、2019年10月12日から13日にかけて年間降水量の3~4割の降雨が集中し、近隣道路のマンホール複数個所から排水量を超える大量の水が溢れ、JR南武線沿線に隣接する事業場の北東側から敷地内に流入しました。事業場の中央は道路で分断されていますが、北側の敷地にある建屋の大半が浸水被害を受け、その一部は地下に設置する電気設備等の水没により停電しました。当時、多摩川の水位が最高水位を超えていたことや土砂堆積状況から、河川水が下水道を逆流し汚水が混入した排水として建屋内に流入する事態となり、復旧するまで約1年を要しました。
特徴
NECファシリティーズが今回提供するコンサルティングサービスは、お客様を実際の被災現場にご案内することで自然災害の脅威を体感していただき(無償)、お客様自身が現場環境を熟知した上で、次の(1)~(5)のような復旧場面をリアルに想定して、何を重視して取り組むかを共に考えてまいります。
(1)建屋被災状況の確認(オフィス入居エリア含む)
はじめに建屋、特に電源等のインフラ設備の被災状況を確認します。特に夜間の作業や建物から水を排水するポンプなどの機材を使用するには、電気設備の復旧が重要です。仮設の受変電設備や送電環境の早急な設置から地下にたまった汚水の排出方法、現場作業者の安全・安心のため入念な消毒・除菌方法まで検討を想定します。
(2)復旧方法の確認
単なる原状復帰ではなく、防災はもちろん、減災・早期復旧を意識した環境構築が求められます。優先順位を決めながら現場復旧と並行して、被災した建屋に入居している業務従事者の移転先を探し、業務再開の段取りも調整します。
(3)協力会社との連携
複数の作業が並行して行われるため、協力会社との連携は密に行う必要があります。作業を統制する管理者の設置、また全ての関係者が同じ時間軸でスケジュールを共有するため朝晩2回のミーティングで計画と結果の管理・更新を行い、計画に遅延が発生した場合はその場で即座に調整することになります。
(4)復旧計画立案
復旧加速に向けては、工事の簡易化も意識する必要があります。例えば減災を意識した高床式の変電所を作る際には、杭柱一体工法(注2)を採用し、杭と構造物を直接接合する手法を活用することで基礎工事を省き、時間と費用を削減するなどの視点も必要です。
(5)再発防止対策立案
再発防止に向けた対策検討では、BC/DR(注3)の観点を踏まえた取り組みを模索し、決定します。
今後の展開
年々増す自然災害の猛威が日々の生活や会社の経営を脅かす中、災害を意識した環境構築は避けられません。
NECファシリティーズは、本サービスに関し、年間約10回の提供を目指します。これは、実際の現場で災害対策の大切さをリアルに伝えていくことが復旧支援を担った会社の務めであり、1社でも多くの会社に現実を見ていただき危機管理意識を高めることが、被災時のオペレ-ションや被災した際のダメージを最低限に抑える取り組みのきっかけになると考えるためです。
当社は、自らの体験を公開するだけでなく、その先(予防と復旧)を見据えて施設の設計・施工から建築、さらには設備の運用・管理まで、BC/DR(注3)を意識した高いレジリエンスの実現を支援してまいります。
以上
- 注1
レジリエンス(Resilience)
「回復力」「復元力」または「弾力性」といった意味があり、外的な刺激に対する柔軟性を表す言葉。「災害対応力」と要約される。
- 注2
杭柱一体工法(TP (Top Plate) 工法)
従来は杭打ち後に基礎を構築し、基礎上に構造物を据付するが、杭と構造物を直接接合できる工法。
基礎が不要かつ施工が容易なため、工期短縮が可能となる。 - 注3
BC/DR(Business Continuity:事業継続 / Disaster Recovery:災害復旧)
自然災害・事故・不祥事などが生じた際に、被害を最小限におさえつつ、最も重要なビジネスを素早く再開することで、損害の発生を最小限に留める経営管理計画。
<本件に関するお客様からのお問い合わせ先>
NECファシリティーズ株式会社 玉川ファシリティマネジメント事業部
E-mail:info_total-ifm@necf.jp.nec.com
URL :https://www.necf.jp
<本件に関する報道機関からのお問い合わせ先>
NECファシリティーズ株式会社 事業企画本部
E-mail:necf_press@necf.jp.nec.com

NECは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、
誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指します。
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