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IFM建物総合管理サービス (1/2)

超短工期・低コストで物流機能を備えた先進のサービス拠点を構築/NECネッツエスアイ様

NECネッツエスアイ様は東京都文京区に本社を置くシステムインテグレーター(SI)として知られ、ネットワークシステムに関する企画・コンサルティングや設計・構築とともに、国内400か所超のサポートサービス拠点による24時間365日対応の保守・運用、監視サービス、アウトソーシングサービスの提供などを事業としています。
2013年12月に創立60周年を迎えた同社は、その記念事業の一環として「サービスデリバリオペレーションセンター(sDOC=エスドック)」の設置を計画。「sDOC」は、首都圏内に分散している保管倉庫やパーツセンター、キッティングセンターなど8つの拠点を1か所に集約し、ICT製品の調達・保管からシステム設定、修理、評価検証、さらに物流機能までを備えたテクニカルサポートの中核施設と位置づけられるもので、その候補となったのが東京都江東区辰巳に立地する5階建・総面積5,000坪強の物件でした。

事例エピソード

不動産事業部、ファシリティマネジメント部、建設リニューアル部によるプロジェクトチームを結成。

NECネッツエスアイ株式会社 執行役員 深谷祥一氏
NECネッツエスアイ株式会社
執行役員
深谷祥一氏

「2013年6月頃から物件を探していましたが、首都高速湾岸線新木場インターチェンジ近くという都心の好立地にある当該建物に巡り合い、10月にここへの集約化を決定しました」と同社執行役員 深谷祥一氏は語ります。
とはいえ、同社はそれまで規模の大きな建物を入居後のビル管理まで自社で行うという経験がほとんどなく、その管理・運用ノウハウも少ないのが実情でした。そこで、物件の契約交渉から建物のリニューアル工事、施設の管理・運用まで一括して弊社が請け負うこととなりました。
NECネッツエスアイ様の依頼の中で最も大きな課題となったのが、①リスクの少ない賃貸借契約の締結、②安全・安心設計かつ短期間でのリニューアル工事、③予算の範囲内での設計・施工──の3点でした。
プロジェクトの遂行にあたり、弊社は不動産事業部、ファシリティマネジメント部、建設リニューアル部などの事業部から成る20人強のメンバーを編成し、IFM建物総合管理サービスの提供を開始しました。

貸主との粘り強い交渉により、お客様に満足いただける定期賃貸借契約を締結。

NECファシリティーズ株式会社 不動産FM事業部長 宮崎和一
NECファシリティーズ株式会社
不動産FM事業部長
宮崎和一

1つ目の課題である「リスクの少ない賃貸借契約の締結」については、当該建物が信託物件のため複数の関係者が存在することもあり、交渉は困難が予想されましたが、弊社不動産事業部が周辺の相場や環境などを把握し、きめ細かな定期賃貸借契約の基本条件を提示しながら交渉を実施。また、貸方基準が不明瞭だったため建屋の設備ごとに「維持・管理」「修繕」「更新」の負担区分表を作成し、借主の負担が少なくなるように交渉しました。その結果、交渉開始からわずか1か月余りで合意に達し、2013年11月1日に契約を締結することができました。
プロジェクトリーダーを務めた弊社不動産FM事業部 事業部長の宮崎和一は、「賃貸借契約に関わる問題は短期間に解決することをモットーとし、当プロジェクトにおいては集約化する各拠点の解約交渉も含めて、お客様にご満足いただける契約をスピーディーに行うことができました」と言います。

NECネッツエスアイ株式会社 総務部長兼地域支援部長 山下裕嗣氏
NECネッツエスアイ株式会社
総務部長兼地域支援部長
山下裕嗣氏

NECネッツエスアイ様の総務部長兼地域支援部長 山下裕嗣氏は、「当初、貸主は契約拘束期間を15年としていましたが、NECファシリティーズの交渉によって10年に譲歩、さらに3年間の短縮を実現し、最終的には7年拘束の契約にしていただきました」と契約期間の短縮を高く評価しています。

超短工期でのリニューアル要請に対応し、各拠点からのスムーズな移転・入居を実現。

2つ目のリニューアル工事については、「築29年の建物であり、東日本大震災の記憶もまだ新しいことから、開設後の管理や警備面も含めて安全・安心をアピールできる施設に整備してほしい」と依頼されました。これを受け、弊社は建物の躯体を厳密にチェックし、安全・安心が担保された造りであることを確認。そして、「安全・安心・快適」と「資産価値の維持・向上」をポリシーとしてリニューアルに臨みました。
設計や建設仕様、業者選定、工事費などについては、毎週1回、NECネッツエスアイ様と定例会議を設け、調整を図っていきました。「最初は当社のメンバーだけで会議を行っていましたが、なかなか進展しませんでした。しかし、NECファシリティーズが加わってからは、細かいところまで一つ一つフォローしていただけるようになりました」と、前出の山下氏は述懐します。
こうした会議を経て、実際にリニューアル工事に着手できたのは2014年1月下旬のこと。ところが各拠点からの移転・入居が3月上旬から順次始まるため、実質的な工期はわずか1か月半しかありませんでした。そのうえ、当時は震災復興や建設ラッシュも重なり、現場で働く人員も不足。「その状況を打開するため、工事の引き合いがあった時点ですぐに人員の確保の打診を行うなど実行に向けての段取りを行いました。結果的にそれが功を奏しました」と宮崎は振り返ります。また、納期の長い機器や設備の選別と分離・分割発注を徹底し、夜間も作業を行うなどして工期に間に合わせることができました。

当初仕様の工事費の半分以下のコストでリニューアル工事を完工。

3つ目の「予算の範囲内での設計・施工」という要望も厳しい課題でした。定例会議で出された要望を反映させた結果、当初仕様の工事費は予算の2倍以上の額に達したからです。
そこで弊社は、分電盤など当該建物の既存設備を最大限に活用するとともに、8つの拠点で使用していた設備や備品の再利用、空調機器や棚などの数量・工法・設計仕様の整合性を図ることによるコストの低減、さらに建屋特性を考慮した什器の最適設計、資材業者の保有在庫の融通などにより、最終的に工事費を予算に近い金額にまで圧縮することができました。

写真: 塩害フィルターzoom写真を拡大表示
テクニカルエリアには塩害
防止フィルターを提案し、
サービスの質の向上と
快適な作業環境を実現。

そうした中、「当該建物が東京湾のすぐ近くに立地していることから、塩害と湿気を防ぐための専用フィルターの導入を提案しました」(不動産FM事業部 営業部主任 草刈豊治)。これは計画にはなかったものですが、「このような提案こそ、我々が求めていたものにほかなりません。少ない予算の中でも快適さが得られることを実証していただいた好例です」と山下氏は強調します。

建物総合管理サービスの新たなビジネスモデルを構築。

こうした課題解決により、「sDOC」は予定どおり3月24日のプレオープンを迎え、稼働を開始。そして7月25日に開所式を行い、本格稼働の運びとなりました。
NEC ネッツエスアイ様からは、稼働後の「施設管理の仕様・運用コストの抑制」も要望されていました。これに対応すべく、弊社は設計段階から顧客ニーズと物件特 性に見合った設備の導入や、合理的・効率的な保全計画を立案。そして、業務遂行状況や管理品質の報告、改善提案などを行いました。具体的な改善提案として は、省エネ照明やPPS(新電力会社)電力への切り替えなどがあげられます。
今回のプロジェクト遂行により、不動産事業部、ファシリティマネジメ ント部、建設リニューアル部の各部門が保有するアセットをベストミックスし、建物総合管理に関する新たなビジネスモデルの構築・提案を可能としました。① 建物賃貸借に関する代理交渉、契約管理などのコンサルティングおよび支払い代行などのシェアードサービス、②施設管理業務の受託によるストックビジネス、 ③維持運営や修繕などのスポットビジネス──がその具体例です。
弊社はこうしたノウハウを駆使しながら、新たなビジネススキームを構築し、お客様のニーズに対応していきます。

建物総合管理サービスの新たなビジネスモデルを構築。